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】【小説】仕舞屋蘭方医 根古屋冲有 お江戸事件帖 人魚とおはぎ
与力見習いの犬飼誠吾は、今日も神田のとある仕舞屋の戸を叩く。
ここに居を構えるは、蘭方医の根古屋冲有。
興味があることにのみまっしぐらでそれ以外には目もくれない変わり者である。
が、頭が切れる上に医術の腕は確かだ。
誠吾はお江戸の町で見聞きした事件を解決するため、少しばかりの甘味を手土産に冲有の知恵を借りに来る。
小正月も過ぎたある晩、日本橋の薬種問屋で火事が起こる。
その火事を皮切りに、町で妖(あやかし)の名を騙る事件が連続して起こり始める。
そしてそれぞれの事件の裏には、確かな悪意が見え隠れしておりーー