【予約受付中】【小説】嫉妬探偵の蛇谷さん(3)
嫉妬が君を強くする、 学園青春探偵物語。「私はずっと、嫉妬しないで済む相手を探していたわ」
そう僕に語る蛇谷カンナの目には、もう嫉妬の色はない。蛇谷カンナ。
黙っていれば怖ろしいほどの美人で、口を開けばもっと怖ろしい、嫉妬の権化のよう「だった」僕の先輩。
惨めな人、馬鹿な人、自分より下な人、嫌われ者、そんな「悪者」の「謎」を暴いていた女。
先輩としては残念すぎるが、そんなところも可愛いとすら感じられていた、僕の好きな先輩。だが、僕との距離が近づいた代わりに、彼女は嫉妬を失った。いま僕の隣にいるのは、探偵としてはあまりにポンコツになってしまったけれど、僕に好意を向けてくれて、からかいつつも近づいてきてくれる、ただの綺麗な先輩??まるで、理想の彼女みたいに。
連続する嫌がらせの共通点、消えた生徒と広まる怪談、そしてとある生徒の遺書と飛び降りの真実……そんなあれこれに立ち向かうために、蛇谷さんの「嫉妬」を無理やり呼び起こしていたけれど、それも長くは続かない。
僕は決めなければならない。「嫉妬探偵」との生き方を。「嫉妬」なんて、なくてもいいものかもしれないけれど。
それでも、僕が好きな先輩は――。嫉妬を失った「嫉妬探偵」の、学園青春”探偵”物語。